英語

昔から英語は割と好きだった。それは、
  • いろんな情報を与えてくれる(技術情報とか)
  • しかし、もっと大きいのは、思考を拡張してくれる。
もののとらえかた、あつかいかた、について、全く別の体系が与えられる。
思考をNative Languageから切り離すことで、ダブルチェックできるというメリットがある。

でも、そんなおおげさな話をしなくても、生きた言葉としても面白さがある。

以下に、私にとって、学習対象としても英語の好きなところをいくつか掲げたいと思う。

韻の感覚

日本語では、韻を踏むというのは、いかにも詩をよむぞみたいな、仰々しい感じがする。 あるいは、いわば「オヤジギャグ」みたいなものでしかやらない。
他方、英語圏では、韻を踏むというか、音に注意するのはもっとポピュラーという印象。

たとえば、英国政府の造語である「NEET」は、いい感じの"neat"と同じ。刺すようなジョーク。
他の例だと、『V for vendetta』という、16世紀の英国の反乱者ガイ・フォークスをとりあつかった映画がある。
(ガイフォークスというと、ハッカー集団のアノニマスのお面の人、1600年代にイングランドで国会爆破を企てた人。)
この映画中では、"violently vicious and voracious violation of volition"という、すごく印象的なシーンがある。
7ワードだけ抜き出したが、原文は100以上のワードにわたってVで韻が踏んである。

流行り廃りがある

英語もまた日本語と同じ人の言葉なので、言葉の変遷、流行り廃りがある。
たとば、僕らはto doの否定形をnot to doと習った。

例: He decided not to drink beer.

しかし、今はto not doという表現がメジャーになりつつある。

もっとも、これを許容すると、例えばシェイクスピアのハムレットのセリフ "To be or not to be, that is the question." が "to not be" となりダサいので個人的にはとてもイマイチ。

他にも、例えば定冠詞/不定冠詞だと、ぼくら日本人が学ぶ時に首を傾げる
  • The refrigerator
  • Her microwave
なんかも、ことばの奥の深い味がある。

なぜ冷蔵庫(refrigerator)はtheで、電子レンジ(microwave)はher(his)なのか。
それは、そもそもtheというのは、文脈がなくても一意に特定できるものを指すから。
  • A man..., the man...のような前の文で出てきたものを受ける時。
  • The Earthのように、言わなくとも一意なとき。(大地といえば、あえて言わなければ地球の大地を指す。)
この論理はかわらない。
では、冷蔵庫についているtheとは何か?
それは、「一家に一台ある」という意味のthe。あえて訳すなら、「我が家の」か。
  • The refrigerator = 我が家の冷蔵庫。
じゃあ、microwaveはなぜtheではないか?それは、この語法が出来た当時はまだ電子レンジがめずらしく、「一家に一台」という暗黙の仮定を置けないから。
したがって、普通の単語同様、his/herをあてる。
これがなぜ流行り廃りかちうの、当然今の時代はmicrowaveは一家に一台ある普遍的なものになってしまったため、今ではtheをあてる。

ほかにも、変遷のうかがえるトピックとしては、
などがそうか。

定冠詞/不定冠詞/前置詞

これも、日本語にはないけど楽しい概念のひとつ。
  • my friend ✗ → a friend of mine ✓
    • (my friendだと、friendは1人となる。後者は、複数いる友人のうちひとり。)
聞いた話では、イタリア人とかもよく間違えるらしい。(この枠組はわりと英語独特、ということか。)

ほかにも、
  • his ex-wife (この表現だけで、彼のex-wifeは一人しかいないことがわかる)
  • "blue skies shining on me" (複数形のskiesとすることで、移り変わる空、を表す。)
  • the Americans / american people (前者は、画一的にみなす気配がつよく、偏見的。)
    • (レミーのおいしいレストランにも、 (儲けるために作った雑な冷凍食品について)「こういうのはアメリカっぽい(the Americans)だろ」というセリフがある。
    • c.f. "The Russians are coming!"

また、前置詞だと:
  • off of work (ないしoff work) =やすみ
  • out of work =失業

もっとシンプルな例だと get off, get outなど。
offは表面から離れること、outはハコから出ていくこと。
  • he is out of it (いかれてる)
  • he is off of it (調子が出ない)

ほかにも、
  • get over his fear
  • get around his fear
理屈がわかってくるとたのしい。

フォーマルな表現とやわらかい表現

ちょうど漢語に対する『やまとことば』のように、ラテン語由来の長い言葉のかわりに get, have, put をつかった短い表現を使うと柔らかい表現になる。

おわりに、雑感

「英語はシンプルである」と思っている。
意味としては、「UNIXはシンプルである」にちかい。
単純ではないが、もののみかた、かんがえかた、がわかってくると、それにそってよく出来ていることがわかる。

コンピュータにせよ言葉にせよそうだが、やっぱり学ぶって、ある点からすごく楽しくなってくる。
で、そのなかでも英語はコスパが高い、
つまり、他の分野だったら5000~10000しそうな専門書がめっちゃ安く手に入るし、我々のような技術者にとっては実利も大きい。
自分は、面白い表現を拾ってくることを「砂浜できれいな石をひろう」と呼んでいるけど、そんなつもりで過ごしてると素敵な表現に出会うことが多いので、おすすめする。

p.s.

『English as she is spoke』という書籍がある。
19世紀にポルトガルで発行された英語の教科書だが、タイトルも中身も文法からなにからめちゃくちゃで意味がわからないことで知られている。小ネタ。